彼は魅惑のバレリーノ

手際よくパスタとサラダを並べてくれた。
湯気がふわっと立ちのぼり、いい香りが広がる。

「…ねえ。」

「なに?」

「それだけ?」

私の前には、美味しそうなパスタとサラダ。
でも、柊くんの前にはサラダだけ。

「ああ、公演控えてるから。今日は昼にしっかり食べたから。夕飯は糖質控えめ。」

「ストイックだね。」

「一応ね。プロだからね。」

そう言って、スッとフォークを持ち上げる。
姿勢が綺麗で、動きに無駄がない。

この人、何してても様になるな。

パスタを一口食べると、思わず目を見開いた。

「おいしい…!」

「よかった。」

短い返事なのに、どこか嬉しそうで、
その声だけで胸がじんわり温かくなる。

柊くんはサラダを静かに口に運びながら、
ちらっとこちらを見る。

「そんなに急いで食べなくてもいいよ。」

「だって美味しいから…!」

「そ。ならいいけど。」

その言い方が妙に優しくて、
私はフォークを持つ手が少しだけ震えた。