彼は魅惑のバレリーノ

一華side

「あ、一華さん。
なんかまた綺麗になってない?」

「そんなことないよ。」

久しぶりに会った柊くんは、
相変わらず優しい笑顔で迎えてくれた。

「二ヶ月後にフランスの公演だから、
それが終わればもう少しゆっくりできると思う。」

「そっか。」

胸が少し高鳴る。
今日こそ伝えようと思っていたことがある。

「あのね……私も柊くんに報告。」

「ん?」

深呼吸して、言葉を紡ぐ。

「私、今の仕事、今月で辞めて独立することにしたの。
だから……私も一緒にフランス行ってもいい?」

「え?」

柊くんの目が大きく見開かれる。

「あ、ただおんぶに抱っこじゃないよ!
ちゃんとありがたいことに顧客が増えてね、
仕事としてやっていける目処がついたの。」

言いながら、自分でも胸が熱くなる。
この一年、ずっと頑張ってきた。

「それと……
柊くんをモデルにしてた絵なんだけど、完成してね。
コンクールに出したら、大賞とれて……」

柊くんの表情がさらに驚きに染まる。

「それがフランスで飾られるんだって。
個展もできるかもって。」

「え!? ほんとに?
知らなかった。」

「内緒にしてたから。」

くすっと笑うと、
柊くんはしばらく言葉を失ったまま、
ただ私を見つめていた。

その瞳が、
一年間ずっと私を支えてくれた温度のままで。

——やっと、同じ未来に立てる気がする。