彼は魅惑のバレリーノ


「それって……。」

胸がぎゅっと締めつけられる。
夕暮れの光が柊くんの横顔を照らして、
その表情があまりにも真剣で、息が止まる。

「一華さん、俺と婚約してください。
さすがに結婚は……まだ決められないと思うけど。
この誓いは、本物だよ。」

ゆっくりと、確かめるように言葉を紡ぐ。

「大好きだよ。
大事にする。絶対。
そばにいられない時があっても、俺は一華さんしか心にいないから。」

そして——

「だから、これを受け取ってほしい。」

柊くんの手のひらで、指輪が夕陽を受けてキラリと光った。

胸が熱くなる。

「ねぇ……まだ私たち半年も付き合ってないよ?
それなのに……いいの?」

震える声で言うと、柊くんは迷いなく頷いた。

「時間なんて関係ないよ。
俺はこの先も一緒にいたい。
そのための約束として、この指輪を一華さんに贈りたい。」

その言葉があまりにも真っ直ぐで、
心の奥に触れられたみたいで——

「ず、ずるいよ……。」

堪えていたものが溢れ出す。

「私より綺麗な人も、すごい人もいっぱいいるよ。
目移りしないでよ。
私以外の人に美味しいご飯つくったらいやだよ。
髪を乾かすのも私だけにして。
柊くんのお気に入りのヘアオイルも、保湿剤を貸すのも……私だけだよ。」

ポロポロと涙が溢れて、
どうしようもないわがままが口からこぼれる。

止められない。
止めたくない。
だって——
それだけ彼が大事だから。

夕暮れの風の中で、
涙の音だけが静かに響いた。

柊くんは、涙でぐしゃぐしゃになった私の手をそっと包み込むと、
震える薬指にゆっくりと指輪をはめてくれた。

その仕草があまりにも優しくて、
胸の奥がじんわり熱くなる。

「約束だよ。俺を信じて。」

低くて、温かくて、迷いのない声。

次の瞬間、ふわりと抱き寄せられ、
夕暮れの風の中で甘いキスが落ちた。

触れたところから未来が始まるみたいで、
涙がまた溢れそうになる。

柊くんの腕の中で、
私は静かに目を閉じた。

——この先の未来が、
 二人にとっての幸せの誓いでありますように。