彼は魅惑のバレリーノ


シャワーの音が止んだと思ったら、
タオルを頭にかぶった柊くんがひょいっと出てきた。

水滴が首筋をつたって落ちていく。
白い肌に、薄く浮かぶ腹筋。

……良い腹筋だな。

思わずスケッチブックを構えた瞬間——

「営業時間終了です。」

すっと伸びてきた綺麗な手が、スケッチブックを押し下げた。

「はい…」

しゅんとしながらスケッチブックをしまう。

柊くんはタオルで髪を拭きながら、
さっと服を着替えてこちらを見た。

「夕飯パスタでいい?」

その声が妙に落ち着いていて、
濡れた髪が頬にかかっているのが色っぽい。

……ほんとに年下なのか?

「は、はい。
作ってくれるの?」

「俺も軽く食べるから。ついで。」

そう言って、冷蔵庫から具材を取り出す。
動きが無駄なくて、料理慣れしてる感じがする。

キッチンに立つ横顔は、
さっきまで踊っていた人と同じとは思えないほど静かで、
でもやっぱり綺麗だった。