彼は魅惑のバレリーノ

美味しそうにご飯を食べる彼女も、
髪を乾かすとき気持ちよさそうに目を細める彼女も、
絵を描くときの真剣な横顔も、
俺を見つめる瞳も、
俺の腕に抱かれて嬉しそうに笑う顔も——

全部、全部、誰にも譲らない。

すると兄の太一さんは「妹をよろしく」と言った。

この人も、一華さんをずっと守ってきたんだ。
家族として、兄として。

だけど俺だって、彼女を守りたい。
そばにいたい。
付き合い始めてまだ間もないけれど、それでもこの気持ちは本物だと胸を張って言える。

俺は一度何かに執着すると、昔からブレたりしない。
だから——
彼女に夢中になっているこの気持ちは、この先も変わらない。

太一さんが帰ったあと、一華さんを見る。

ふわふわした足取りで、頬を赤く染めて、
ぎゅっと抱きついてくる。

……ああ、可愛すぎる。
俺の彼女。

一華さんの前では、いつだって余裕のある大人でいたい。
嫉妬なんてしていないふりをして、
俺は静かに彼女を抱き寄せる。
触れた瞬間、胸のざわつきが嘘みたいに落ち着いた。