彼は魅惑のバレリーノ

「よし!じゃあ私はこれで。」

立ち上がった瞬間——

ぐうううう。

お腹が裏切った。

「すごい音…夕飯まだ?」

「まだですね。」

柊くんはため息をひとつ。

「なんか食べる?」

「食べたいです!!」

即答したら、柊くんは少しだけ肩を落とした。

「上きて。」

言われるまま後に続くと、二階は居住スペースのようだった。
白を基調にした落ち着いた部屋で、余計なものがほとんどない。

「とりあえずシャワー浴びる。適当に座って。」

「はい。」

ソファに腰を下ろすと、ふわっと柔らかい。
部屋は整っていて、生活感はあるのに散らかっていない。

一人暮らしなのかな…
私の部屋より綺麗にしてるな。

ふと、シャワーの音が聞こえてくる。
その音だけで、なんだか胸がざわついた。

マリアさんがソファの端にぴょんと乗り、
こちらをじっと見つめてくる。

「……マリアさん、あなたのご主人、綺麗すぎません?」

「にゃあ。」

まるで肯定したかのような返事。
なんとなく“そうでしょ”と言われた気がする。