彼は魅惑のバレリーノ

「そっか。
ならいい。妹をよろしく。」

俺がそう言うと、男は目を瞬かせた。

「え?」

「一応心配してる。
妹だからな。」

ぶっきらぼうに聞こえるかもしれないが、
本当に心配してるんだ。

——昔、公園で二時間も鳥を描いてて彼氏に振られた妹。
やっと立ち直って、新しい恋をしてる。
その相手が遊びじゃないなら、兄としては見守るしかない。

「はい、わかりました。
大事にします。」

まっすぐ言い切って、柔らかく笑った。

……なんだよ。イケメンだな。
ちょっとときめくじゃねえか。

「まじでかっこいいな。
柊って呼んでいい?」

「はい。お願いします。太一さん。」

「お兄さんでもいいぜ。」

「えっ!」

柊の戸惑った声が、なんか新鮮でおもしろい。

そのとき、奥からのんきな声が響いた。

「あー、すっきりした。
お風呂入るー。」

「え、一華さん大丈夫?
酔い冷めてないのにお風呂入ったら溺れるから、今日はシャワーにしなさい。」

柊が慌てて立ち上がり、廊下へ向かう。

その背中を見ながら、俺は思わず口元がゆるんだ。

……なんだ、良い関係じゃん。

自然と頬がにやける。