彼は魅惑のバレリーノ


「私が柊のこと好きになったのはね。」

「聞いてないですよ。」

「言わせてよ! いいじゃない!」

「はい。」

天音さんは、悔しさと誇りを混ぜたような顔で続けた。

「バレエの学校に行ってたときに、テストで男女ペアになって踊るのがあったの。
くじで決められたんだけど……」

少し視線を落とす。

「私、そのとき他の人より少し太ってて。
“あいつとペアにはなりたくない”って言われてたの。」

胸がきゅっとなる。
天音さんの声は強がっているのに、どこか震えていた。

「でも柊は……
“気にしなくていい。俺がちゃんと支える。落としたりしない”って。
“女性はホルモンバランスとかあるから、無理に痩せようとしたらよくない”ってさ。」

その言葉を思い出したのか、
天音さんの目が少し潤む。

「そんなこと言われて、好きになんないわけないじゃない。」

ぽつりと落ちた声は、
強がりじゃなくて、ただの“本音”だった。

「かっこいいのよ。
踊る姿も、顔も、全部。」

天音さんは苦笑いを浮かべる。

「あーあ。いいなぁ。
私は二年彼といたのに……
あんな顔されたことなかった。」