彼は魅惑のバレリーノ

軽く三人で打ち合わせしてから、練習場へ向かう。
バレエダンサーたちの動きを見て、深山が感嘆の声を上げた。

「すごい。プロって感じだな。」

「ね、すごいよね。」

柊くんは呼ばれて、すぐに団員の輪の中へ消えていった。

「すみません。今日はよろしくお願いします!」

深山は颯爽と団員たちに挨拶し、あっという間に打ち解けている。
さすがコミュ力の塊。

すると——

「如月さん! この前はごめんなさい!」

矢野さんに勢いよく頭を下げられた。

「え? 何がですか?」

「柊に怒られて、余計なこと言うなって!
ほんとごめんなさい。」

「全然気にしてないから大丈夫ですよ。」

「はー、良かった。」

心底ホッとした顔。

そして、周りを気にしながら、そっと近づいてきて——

「でも、おめでとうございます。」

コソッと耳打ちされた。

「え!?」

思わず声が裏返る。

その反応に、矢野さんがニヤッと笑う。