私は深山とダンサーたちの練習場に行く予定で、早めに着いたので、目の前のカフェのテラス席で軽食をとりながらフラッペを飲んでいた。
「如月のデザインみたけど、あのユキヒョウ海賊、あれ良かったな。」
「ほんと?」
「うん。ほんとセンスあるよなー。
俺は描くのは全然。」
「そんなことないよ。
深山は仕事早いし、部長にも頼りにされてるじゃん。」
そう言うと、深山はふっと笑った。
「なあ、如月。」
真剣な瞳がこちらに向いた、その瞬間——
「一華さん。何飲んでるの?」
後ろから甘い低い声が落ちてきた。
「あ、柊くん。
キャラメルマキアートチョコフラペチーノ。」
「ちょっとちょうだい。」
「あ、うん。」
柊くんはストローを受け取り、一口飲む。
「甘っ。」
「だよね。ちょっと甘いよね、これ。」
ふっと笑い合う。
その様子をじーっと見ていた深山が、ぽつりと口を開いた。
「なんか…距離近いな。」
「あ…えっと。」
私が困って言葉に詰まると、
すかさず柊くんが、まるで当たり前のことのように言った。
「うん、俺たち付き合ってるから。」
さらっと、なんのためらいもなく。
え、いいの?バラして。
「あ、そうなんだ。」
深山は一瞬だけ驚いた顔をしたが、すぐに穏やかに笑った。
その笑顔は、祝福にも、少しだけ寂しさにも見えた。

