彼は魅惑のバレリーノ

「なに?」

「深山さんって人と仲良いんだなって。」

柊くんは少しだけ視線をそらし、声のトーンがわずかに低い。
ほんの少しだけ不機嫌そう。

「んー、同期だからね。
彼がいると雰囲気が明るく変わるっていうか…なんていうの?」

「……ムードメーカー?」

返事が短い。
さっきよりちょっとだけ間がある。

「そんな感じ。
でも、柊くんもそうだよ。」

「おれ?」

「うん。練習場での様子、見てたけど…
柊くんの周り、なんかキラキラしてた。
みんなが引き寄せられてる感じ。
華がある、っていうのかな。」

そう言うと、柊くんは口元に手を当て、眉をほんの少し寄せた。
照れてるというより、複雑そうで、どこかむくれている。

「……一華さんってさ。
無意識に人褒めるの上手いよね。」

「そう?」

「うん。
なんか……誰にでもそうなんだなって。」

最後の一言は、ほんの少しだけ尖っている。
でも、目はちゃんとこちらを見ていて、
“本気で怒ってるわけじゃない”のが分かる。

その微妙なすね方が、逆に可愛い。


「でも…程々にね。
他の人を褒めるのも、見るのも…。

一華さんの特別は…俺だけがいい。」

熱っぽい視線を受けながら、口を開く。

「心配いらないよ。
私が“人生で一番綺麗だって描きたい”って思わせてくれたのは…柊くんだよ。

初めて見た時の衝撃は忘れない。
この先も、ずっとね。」

そう言って微笑むと、
柊くんの表情がふっと緩んだ。
嬉しさを隠しきれていない、あの柔らかい顔。