彼は魅惑のバレリーノ


その後は、柊くんが自主練を始め、私は端の椅子でデザインの調整を続けた。
時々、床を蹴る音やターンの風がこちらに届く。
集中している横顔は、やっぱり舞台の人だなと思う。

一応、深山にもデザインを共有すると、すぐに返信が来た。

“俺もそのマスコットがいいと思う”

……マスコットって。
ユキヒョウ海賊、そんなに刺さったんだろうか。

さらに、パンフレット作成にあたり、団員たちに確認したいことがあるから直接話したいとのこと。

汗を拭きながら近づいてきた柊くんに声をかける。

「あのさ、深山にもデザイン共有したんだけど、
パンフレットの作成でコメントの確認とかしたいんだって。
話聞ける日ある?」

「あー。練習の合間でよければ。」

「わかった。じゃあちょっと日程組ませて。」

そのまま電話をかける。

「もしもし、あ、深山。
うん、さっきの内容通りで。練習の合間なら大丈夫だって。
うん、そうだね。了解。
はーい、またね!」

電話を切ると、視線を感じる。
顔を上げると、柊くんがじーっとこちらを見ていた。

汗で少し濡れた髪のまま、タオルを肩にかけて。
なんだか、さっきより距離が近い気がする。