彼は魅惑のバレリーノ

「顎引いて、そう。お腹に力入れる。
はい、次は第二。」

手のポジションをひと通り確認し終える。

「はい。いいよ。」

「すー……はぁ……すー……はぁ……」

思いきり息を吸い込んで、肩が上下する。

「苦しかった。」

「待って、息止めてたの?」

柊くんがクスッと笑う。

「止めないと力入らなくて。」

「それ酸欠になっちゃうよ。」

「それにしても…難しいね。
見てるときはあんなに優雅で軽やかに見えるのに。
こんなに指先まで意識してるんだ……すごいな。」

思わずまじまじと自分の手を見つめてしまう。

「うーん、まあ、そうかも。慣れだね。」

「慣れか。超人だね。」

「それはどうも。」

軽く肩をすくめる彼の仕草が、なんだか舞台のときと同じで、少しだけ胸が熱くなる。