彼は魅惑のバレリーノ

「じゃあさ、夢じゃないってわかるように、
もうちょっと…恋人っぽいこと、してもいい?」

柊くんはゆっくりと、
まるでこちらの反応を確かめるように顔を近づけてくる。

耳元で囁かれたみたいに近くて、
息が止まりそうになる。

「え、えっと……」

言葉が詰まる私を見て、
柊くんはふっと笑った。
優しいけど、どこか意地悪な笑み。

「嫌じゃないなら、目閉じて。」

その一言で、
胸の奥が一気に熱くなる。

逃げられない。
でも、逃げたくない。

そっとまぶたを閉じると、
すぐ近くで彼の息が触れた。

「……可愛い。」

低く囁かれた声に、
身体がびくっと震える。

そして——

唇が触れる寸前、
彼の指がそっと頬に触れた。

「一華さん。
俺、本気で好きだから」

その言葉が、
キスより先に胸に落ちてくる。

そしてすぐに
ふわり、と。

羽が触れたみたいに軽く、
でも確かに熱を持ったキスが落ちてきた。

最初は本当に触れるだけ。
確認するみたいに、そっと。

それだけなのに、
胸の奥がぎゅっと締めつけられて、
息がうまく吸えなくなる。

柊くんの指が頬に添えられたまま、
親指で優しくなぞられる。

「……一華さん。」

名前を呼ぶ声が、
唇のすぐ近くで震える。

そのまま、もう一度。
今度はさっきより少しだけ深く、
ゆっくりと重ねられる。

甘くて、優しくて、
触れられているところだけが熱くなる。

離れたあと、
柊くんは額をそっと私の額に寄せて、
小さく笑った。

「ね、これで夢じゃないってわかった?」

近すぎる距離で囁かれて、
胸がまた跳ねる。

「……うん。」

声が震えてしまう。

柊くんはその震えを嬉しそうに受け止めて、
指先で私の唇をそっとなぞった。

「可愛い。
もっとキスしたくなる。」

その言葉だけで、
また心臓が苦しくなるほど高鳴る。