彼は魅惑のバレリーノ

「で、本当はどういう関係?」

(この人グイグイくる……はあ……)

観念して答える。

「私が彼にモデルを頼んだんです。
それで知り合って……私のアパートが水漏れして、
いま一緒に住まわせてもらってます。」

「へぇー、そりゃ大変。
なー、柊って如月さんの前だとどんな感じ?」

「うーん、優しい。
本物の王子様みたい。」

「え? あいつが優しい?」

「うん、優しい。」

「どんなところが?」

「えっと……私の身体を気遣ってくれてお弁当作ってくれたり、
髪乾かしてくれたり……
あとは私が作った見栄えの悪いオムライス食べてくれたり。」

言ってから気づく。

(……待って。
私、初対面の人に女子力の低さを全開で披露してる……?)

矢野さんは目を丸くしたあと、
にやっと口角を上げた。

「なるほどね。
それ、普通に彼氏ムーブじゃん。」

「ち、違います!」

「いやいや、オムライスのくだりとか完全にそれ。」

「違いますってば!」

「ふーん……
じゃあ“まだ”ってこと?」

「ま、まだって……!そんなんじゃないです。」

顔が熱い。
心臓がうるさい。

矢野さんは悪気なく笑っているけど、
言われた言葉が胸に刺さる。