彼は魅惑のバレリーノ

「遅くなってごめん。
あれ、なんか良い匂いする。」

「あのー……一応ね。作ってみた。」

「え、ほんとに? 嬉しい。
手洗ってくる。」

軽い足取りで洗面所へ向かう柊くん。
その間に私は慌ててテーブルに料理を並べた。

(……見た目、ほんとひどい)

皿の上のオムライスは、卵が破れてぐちゃっとしている。
サラダとスープで誤魔化しているけど、主役がこれでは心もとない。

戻ってきた柊くんに、私は覚悟を決めて言った。

「あの、一応オムライス。
見た目はまあ、あれだけど……味は美味しいはず。
あ、でもでも! 無理に食べなくていいから!
他のもの食べて!」

「いただきます。」

しれっとスルーして、
柊くんはスプーンを手に取り、迷いなく一口食べた。

「ど、どう?」

「うん、美味しい。」

「ほんと?」

「うん。」

もぐもぐと、普通に、当たり前みたいに食べている。

その姿を見て、胸の奥がじんわり温かくなった。

(……よかった)

私もようやく席に座り、スプーンを手に取る。

柊くんはふと、横目で私を見て微笑んだ。

「一華さんの料理、嬉しいよ。」

その一言にほっと救われる。