なんとも後味の悪い結末を迎えた事件から、三ヶ月が過ぎた。
新年の鐘が、凛と澄んだ冬空に鳴り響く。
王都アゼリアスは、薄く雪を纏っていた。
人々の祝福の声と、祝いに飾り立てられた花々に彩られ、今日、ひとりの姫君が成人を迎える。
ミアリエルの部屋付き侍女であるエマウは、式典の控え室で主の裾を整えていた。
薄桃の礼服に、地を象徴する翡翠の宝飾。
いつも天真爛漫に笑っていた少女は、欲目を差し引いても、どこか凛とした横顔になっている。
「……似合ってます、ミアリエル殿下」
「ふふ、ありがとう。今日からは正式に王室議会付き顧問官補佐よ」
声には誇りと、ほんの少しの不安。
「私も、もっと役に立ちたいの。お兄様たちみたいに、国を守る盾とか……そういう存在に」
「殿下は殿下の在り方で、国を支えておられますよ。軍人になるよりずっと、強く」
ミアリエルは頬を膨らませた。
「エマウはそうやって、いつもわたしを子ども扱いするんだから」
「だって――可愛いのですから」
むむ、と言いながらも、くすりと笑う姫。
成人を迎えたばかりの少女に、無理な背伸びはしてほしくない。
どうかこのまま健やかに。
式典の扉が開く。
光の渦が彼女を誘い、ミアリエルは振り向いて、いつものように軽く手を振った。
「見ててね、エマウ」
「もちろんです」
扉が閉まり、祝福の歓声が響き渡る。
――この平穏が、ずっと続きますように。
エマウは、ただ静かにそう祈った。
新年の鐘が、凛と澄んだ冬空に鳴り響く。
王都アゼリアスは、薄く雪を纏っていた。
人々の祝福の声と、祝いに飾り立てられた花々に彩られ、今日、ひとりの姫君が成人を迎える。
ミアリエルの部屋付き侍女であるエマウは、式典の控え室で主の裾を整えていた。
薄桃の礼服に、地を象徴する翡翠の宝飾。
いつも天真爛漫に笑っていた少女は、欲目を差し引いても、どこか凛とした横顔になっている。
「……似合ってます、ミアリエル殿下」
「ふふ、ありがとう。今日からは正式に王室議会付き顧問官補佐よ」
声には誇りと、ほんの少しの不安。
「私も、もっと役に立ちたいの。お兄様たちみたいに、国を守る盾とか……そういう存在に」
「殿下は殿下の在り方で、国を支えておられますよ。軍人になるよりずっと、強く」
ミアリエルは頬を膨らませた。
「エマウはそうやって、いつもわたしを子ども扱いするんだから」
「だって――可愛いのですから」
むむ、と言いながらも、くすりと笑う姫。
成人を迎えたばかりの少女に、無理な背伸びはしてほしくない。
どうかこのまま健やかに。
式典の扉が開く。
光の渦が彼女を誘い、ミアリエルは振り向いて、いつものように軽く手を振った。
「見ててね、エマウ」
「もちろんです」
扉が閉まり、祝福の歓声が響き渡る。
――この平穏が、ずっと続きますように。
エマウは、ただ静かにそう祈った。


