そう言うと、セア様は肩をすくめて笑った。
その時、エンシミオが戻ってきた。
「セア殿下、準備が整いました。さっそく作戦会議といたしましょう」
「ああ、ありがとう」
そう言って、セア様がエンシミオから紙とペンを受け取った。
そして紙を置いた。
「まずは俺たちの目的を話しておきたい。現在、皇太子候補が第一王子のルカにあることは知っているな?」
「ええ、存じ上げております」
「だがそれは、大きな間違いだ」
「え?」
私は思わず声を上げてしまった。
コルド帝国第一王子ルカ・フローレンス・イリュシア様は、学園では商人科を専攻しており人望もある。
欠点と言えば皇族の中で唯一魔法が使えないこと。
けれど、それも上回る実力をお持ちで皇太子任命は間違いないと言われているのに。
『それは、どういうことなのか教えていただきたく』
アミューズがそう聞くと、セア様が頷いた。
「たしかにルカは有力候補にあがっている。しかし、裏で勢力を伸ばしているのはアランだ」
「っ…!」
私はようやく気がついてしまった。
貴族派は綺麗事だけで生きているわけではなく、カジノや人身売買など非道な行いをしている方は多く存在する。
8割型はそれに値してしまう。
その貴族派たちがアラン様を称賛し、味方になればルカ殿下に勝ち目はない。
「アラン様の裏での行いを止めないと、彼が皇太子にのしあがり、さらに皇帝に即位する可能性が十分にあるということですね?」
「そういうことだ。そうなれば、皇帝になったアランに手出しができなくなる。最悪の場合、アランに処刑される場合もあると考えられる。それはなんとしてでも止めなければならない。だが、幸いなことにもアランには婚約者が存在しない」
私はハッとした。
そう、それがルカ殿下を皇太子にできない理由でもあるのだ。
「婚約者がいなければ、皇太子になることができないのでしたわね。ですが、婚約者ができるのも時間の問題かもしれません」
過去では、私を塔に閉じ込めた後サニアとの婚約を進めていた。
つまり、私がアラン様と婚約する前から、サニアとは特別な関係になっているということ。
サニアアラン様が出会えば、婚約を進めてすぐにでも皇太子になってしまうかもしれない。
「ああ。だから、まずはそれを阻止する。方法はふたつだ。ひとつは、アランの注意がムクにあることを利用してアランとまるで婚約する気があるように見せ、他に婚約者を作らせない方法だ」
私は少し考えた。
たしかにそれはいい方法かもしれない。
私と婚約できると思っていれば、他に婚約者を作ることはしない。
アラン様の求めているものは、強い青き血持ちながら健康な体を持っている者。
私以上に最適な者は現れないだろう。
だけど実際に、できるかは別の話であると思う。
あの地獄の日々を思い出すと、どうしてもアラン様に近付くのは恐ろしい。
そして、セア様が言葉を続けた。
「これは無理だろうとわかっている。ムクに嫌な思いはしてほしくない」
「……ありがとう…ございます…」
セア様はやはりお優しい。
「だから、ふたつめの方法だ」
不意にセア様は笑って見せた。
それは優しい笑みではなく、何かを企むような悪い顔。
そして発せられた言葉はありえないことだった。
「俺と婚約しないか?」
「へっ…!?」
わ、私とセア様が婚約を?どういうこと…!?
頭が混乱していると、アミューズが黒い笑顔で言った。
「ダメです。断ってください」
「い、言われなくても!お、お断りします…!!」
その時、エンシミオが戻ってきた。
「セア殿下、準備が整いました。さっそく作戦会議といたしましょう」
「ああ、ありがとう」
そう言って、セア様がエンシミオから紙とペンを受け取った。
そして紙を置いた。
「まずは俺たちの目的を話しておきたい。現在、皇太子候補が第一王子のルカにあることは知っているな?」
「ええ、存じ上げております」
「だがそれは、大きな間違いだ」
「え?」
私は思わず声を上げてしまった。
コルド帝国第一王子ルカ・フローレンス・イリュシア様は、学園では商人科を専攻しており人望もある。
欠点と言えば皇族の中で唯一魔法が使えないこと。
けれど、それも上回る実力をお持ちで皇太子任命は間違いないと言われているのに。
『それは、どういうことなのか教えていただきたく』
アミューズがそう聞くと、セア様が頷いた。
「たしかにルカは有力候補にあがっている。しかし、裏で勢力を伸ばしているのはアランだ」
「っ…!」
私はようやく気がついてしまった。
貴族派は綺麗事だけで生きているわけではなく、カジノや人身売買など非道な行いをしている方は多く存在する。
8割型はそれに値してしまう。
その貴族派たちがアラン様を称賛し、味方になればルカ殿下に勝ち目はない。
「アラン様の裏での行いを止めないと、彼が皇太子にのしあがり、さらに皇帝に即位する可能性が十分にあるということですね?」
「そういうことだ。そうなれば、皇帝になったアランに手出しができなくなる。最悪の場合、アランに処刑される場合もあると考えられる。それはなんとしてでも止めなければならない。だが、幸いなことにもアランには婚約者が存在しない」
私はハッとした。
そう、それがルカ殿下を皇太子にできない理由でもあるのだ。
「婚約者がいなければ、皇太子になることができないのでしたわね。ですが、婚約者ができるのも時間の問題かもしれません」
過去では、私を塔に閉じ込めた後サニアとの婚約を進めていた。
つまり、私がアラン様と婚約する前から、サニアとは特別な関係になっているということ。
サニアアラン様が出会えば、婚約を進めてすぐにでも皇太子になってしまうかもしれない。
「ああ。だから、まずはそれを阻止する。方法はふたつだ。ひとつは、アランの注意がムクにあることを利用してアランとまるで婚約する気があるように見せ、他に婚約者を作らせない方法だ」
私は少し考えた。
たしかにそれはいい方法かもしれない。
私と婚約できると思っていれば、他に婚約者を作ることはしない。
アラン様の求めているものは、強い青き血持ちながら健康な体を持っている者。
私以上に最適な者は現れないだろう。
だけど実際に、できるかは別の話であると思う。
あの地獄の日々を思い出すと、どうしてもアラン様に近付くのは恐ろしい。
そして、セア様が言葉を続けた。
「これは無理だろうとわかっている。ムクに嫌な思いはしてほしくない」
「……ありがとう…ございます…」
セア様はやはりお優しい。
「だから、ふたつめの方法だ」
不意にセア様は笑って見せた。
それは優しい笑みではなく、何かを企むような悪い顔。
そして発せられた言葉はありえないことだった。
「俺と婚約しないか?」
「へっ…!?」
わ、私とセア様が婚約を?どういうこと…!?
頭が混乱していると、アミューズが黒い笑顔で言った。
「ダメです。断ってください」
「い、言われなくても!お、お断りします…!!」



