わたしの秘密のキューピット


 笑顔を振りまくその女の子からは少しも陰気な印象は受けない。

 茶色がかった髪は長くて、毛先が自然とカールしたゆるふわで。切れ長の二重は綺麗なアーモンド型だし、鼻筋も高くてすごく美人だ。

 あまり見た目が可愛いとは言えないうちの中学の冬用の紺色のセーラー服も、手足がすらっと細い彼女にはとても似合っている。

 年齢は同じくらいに見えるし、見た目は普通っぽい。

 なのに、わたしは突然現れたその女の子のことがなんだか怖かった。

「大セーカイ、ってどういうこと? あなた、ほんとうにユーレイなの?」

 ドキドキしながら聞くと、女の子が悪戯っぽく笑って首を横に傾けた。

「ウワサでは、キューピットってかわいく呼ばれることもあるよ。まあ、実際のところはユーレイなんだよね」
「ウワサ? キューピット?」
「あれ、知らない? この学校の子たちがウワサしてる、夕方四時四十四分の恋のおまじない」
「おまじない?」
「そう。片想いが叶うおまじない。『夕方の四時四十四分ぴったりに、誰にもバレないように片想いしている人の机やロッカーに想いを書いた手紙を入れる。するとキューピットが現れて、好きな人と両想いになれる』っていうものなんだけど」
「知らない……。初めて聞いた」
「えー! ほんとにー?」

 真顔で首を横に振ると、女の子が信じられないというように目をぱちくりさせた。