◇◇◇
「あ、おれ、部室にカバン置いてきちゃった。とってくるから、昇降口で待っててもらっていい?」
「うん」
わたしが落ち着くと、高橋くんが話しかけてきた。
「じゃぁ、あとでね」
教室から出ていく高橋くんに手を振って頷くと、彼がにこっと優しく笑ってくれた。その笑顔に、胸がきゅっとなる。
お互いに気持ちを伝えあったあと、高橋くんから「おれと付き合ってくれる?」と恥ずかしそうに言われて頷いたけど……。
高橋くんが視界からいなくなると、さっきされた告白が夢みたいに思えて急に少し不安になってきた。
わたし、ほんとうに高橋くんと両想いになれたのかな……?
高橋くんに振った右手を左手で握りしめて、胸の上にあてる。
そこはまだ、いつもより速くドキドキと音をたてていた。
しばらくそうしていると、左側にスーッと冷たい気配が近付いてくる。
「よかったね、紗良ちゃん」
振り向くと、ユーコが嬉しそうににこにこと笑っていた。
ドキドキしすぎて、その存在を意識するのを忘れていたけど、ずっとそばで見守っていてくれたのかな。



