まっすぐわたしを見ている高橋くんと視線を合わせて、息を飲み込む。
「わざわざ呼び出してごめんね。この前は、ジャージ貸してくれてありがとう」
「そのまま返してくれてよかったのに。わざわざ洗濯してもらって、こっちこそありがとう」
ドキドキしながらジャージの入った紙袋を差し出すと、高橋くんが申し訳なさそうに眉を寄せながら袋の口を開いた。
「あれ、なんか入ってる……」
袋の中を覗き込んだ高橋くんが、すぐに一緒に入れていたクッキーに気がつく。
「これ、武部さんが作ってくれたの?」
「あ、うん。家庭科部で作ったから、ジャージと……、あと、ノートのコピーのお礼に」
顔を赤くしながら頷くと、高橋くんが頭の後ろに手をやって苦笑いした。
「わざわざ気を遣ってもらってごめん。どっちもおれが勝手にしたことなのに」
「そ、そんなことないよ。どっちも嬉しかったから」
早口でそう言うと、高橋くんが少し笑いかけてくれた。
「それならよかった。ノートのコピーのこと、武部さんが何も言ってこないから、本当は迷惑がられてるかなって心配だった」
「迷惑なんて思うわけないよ!」
勢いよく返すと、高橋くんが驚いたように目を見開いた。
「ごめん……、急に大きな声出して」
顔を真っ赤にして両手で口を押さえると、高橋くんがわたしから視線をはずして目を伏せる。
「いや。そんな全否定されると思わなくて、ちょっとびっくり。この前、武部さんが送ってきたメッセージをすぐに削除したじゃん? おれは勝手に、最近武部さんと仲良くなれたって思ってたから、急に何もなかったみたいにメッセージを消されたのがちょっとショックで。武部さんに嫌われるようなことしたかなってずっと考えてたんだ。嫌われてなくてよかった」
高橋くんが足元に視線を向けながら、ふっと笑う。
嬉しそうな彼の横顔を見ていたら、胸の奥がキュッと狭くなった。



