わたしの秘密のキューピット


「迷ったんだけど……。無難にクッキー」

 高橋くんへのお礼用に用意したのは、型抜きクッキー。さっき、家庭科部で作ったものだ。

 もっと凝ったものにしようかとも思ったけど、あんまり頑張り過ぎた感が出ても恥ずかしいし。慣れないものを作って、失敗するのも怖かった。

「喜んでもらえるといいね」

 にこにこと笑いかけてくるユーコに頷くと、深妙な顔で息を吸い込む。

 ドキドキするけど、本番はもっとドキドキするはずだから、まずはユーコに宣言しておこうと思った。

 土壇場になって決意が鈍ったりしないように。

「ユーコ。わたし、今度こそちゃんと告白しようと思う」
「紗良ちゃん……」

 決意を伝えると、ユーコが大きな目を輝かせてわたしの手を両手でふわりと包み込んだ。

 感触はないけど、冷たい感覚だけがぎゅーっと手の甲に伝わってくる。

「きっと大丈夫。頑張ってね」

 大丈夫なんて、また根拠のないことを言ってくれちゃって。

 だけど、ユーコの応援してくれる気持ちは充分なくらいに伝わってきたから、「ありがとう」と笑い返した。

 そのとき廊下から物音がして、教室のドアから高橋くんが顔を覗かせた。