わたしの秘密のキューピット


 まずいな、と思って眉を寄せたら、目が合ったユーコが「ごめん、適当にごまかして」とわたしに向かって手を合わせてきた。

 適当にごまかすって、どうやって……。

「紗良? なんか、目もちょっと赤くない? 何かあったの?」
「あー、えっと。昨日、怖い動画見て夜眠れなくなっちゃって寝不足なんだよね。ユ、ユーレイが出てくるみたいなやつ。明け方ちょっと寝ただけだから、学校来てからも眠くって。小春に話しかけられるまで、うっかり寝ちゃってた」

 とりあえず、朝から居眠りしてたってことで貫き通そう。
 
 頭の後ろに左手を回しながら、へらっと笑う。

「え、じゃぁ、今のは寝言ってこと?」
「わ、わたし、寝言言ってた?」
「言ってたよ。ユーコがどうとか、ひとりじゃうまくいかないとか。どんな夢見てたの?」
「んー、よく覚えてない。夜中に見た怖い映画の夢だったのかも」

 へへっと笑うと、小春が呆れ顔でわたしを見つめてきた。

「大丈夫? 紗良、ただでさえ最近ひとりごと多いのに」

 小春には、最近のわたしがひとりごとが多いように見えてたんだ……。

「大丈夫。気をつける」

 苦笑いを返すと、高橋くんが男子グループの輪から抜けて席に戻ってくる。