『ノートの計算式。途中の計算と答えが合わなくて。ここの答えって、X=4じゃなくて、X=9かな』
両手でスマホを持ち直すと、高橋くんにまじめに返事を返した。
好きな人に送るメッセージにしては、かたすぎる。
ユーコがそばで見てたらあきれると思う。
本当は『今、何してる?』とか、もっと気楽なメッセージを送れたらいいんだけど。
そういうのは難易度が高いから、今日のノートを隅々まで見直して、高橋くんにメッセージを送る口実を必死に探した。
そうしたら、口実にできそうなのはこれくらいだったんだ。
『ごめん。武部さんの言うとおり、それ9だと思う。よく、4と9の見分けがつかないって言われるんだよね』
自分のノートを見返してくれてたのか、しばらく間が空いてから高橋くんのメッセージが届く。
『おれはちゃんと書き分けてるつもりなんだけど』
続けて届いたメッセージに、ふっと笑ってしまった。
『わかった。ありがとう』
これで明日はユーコにも、ちゃんと自分からメッセージできたよって報告できる。
ほくほくした気持ちで膝の前に置いたノートを閉じると、手の中でスマホが震えた。



