わたしの秘密のキューピット


 二時間目の授業のあと、高橋くんはまたノートのことで話しかけてきてくれた。

 そのあとも、休憩時間のたびに高橋くんと話すことができて。右手が使いにくくて少し不自由だけど、トータル的にとても満たされた一日が過ごせた。

「武部さん、また明日ね」
「うん、また明日」

 帰り際に声をかけてくれた高橋くんに手を振ると、小春が近づいて来て、驚いたように目を丸くした。

「紗良、高橋くんと話せてるじゃん。何かあったの?」
「じつはね、手が治るまで、高橋くんがノート書いてくれることになった」
「そうなんだ……!」
「連絡先も聞いたんだよ」

 こそっと耳打ちすると、小春が「え、ウソ! 紗良が?」と、本気でびっくりしている。

「どんな魔法使ったの? これまで、自分から話しかけるなんて絶対ムリだったじゃん」
「ふふ、秘密だよ」

 小春の横でふわふわ浮いているユーコを見つめてニヤッとする。そんなわたしの態度を、小春はますます不思議がっていた。

 魔法は使ってないけど、ユーコの存在はわたしに勇気をくれる魔法みたいなものかもしれない。