「休み時間終わっちゃうから、早く交換しよ」
「あ、うん……」
顔の前でパタパタと左右に手を振っていたら、高橋くんが時間を気にしながらスマホのロック画面を解除した。わたしも急いでカバンからスマホを取り出す。
教室でのスマホの使用は禁止だから、先生に見つかったら没収されちゃうんだ。
机の下でこっそりと連絡先を教え合ったタイミングで、休み時間の終了を知らせるベルが鳴った。
「ありがとう」
「うん」
スマホを握りしめてお礼をいうと、高橋くんが笑いながら頷いて、椅子ごと席に戻っていく。
すごい。好きな人と連絡交換できた……。
これから授業が始まるから、じっくり確かめたりはできないけど。ここに、高橋くんの連絡先が入ってる。それだけで、スマホを握る手のひらが熱い。
「うまく交換できたね」
「うん。でも、ユーコ笑ってたでしょ」
「ごめん、ごめん。紗良ちゃんが、あたしの考えた口実をまるっきりそのまま使うから」
「不自然だった?」
「そんなことないよ。紗良ちゃん、素直だなーと思っただけ」
ユーコがわたしを見て、ふふっと思い出すみたいに笑う。
やっぱり変だったのかな。
むっと眉根を寄せたら、次の数学の授業の先生が教室に入ってきた。
教室がザワザワとして、まだ立ち歩いていたクラスメート達が急いで席に戻っていく。
わたしも、ユーコとのおしゃべりをやめて姿勢を正した。



