「わかった。じゃぁ、武部さんのケガが治るまでは手伝うね。もし読めないところとかわかんないところがあったら、いつでも聞いて」
「あ、ありがとう」
優しく声をかけてくれる高橋くんに、何度もコクコクと頷く。
思ったことを口にできるかできないかで、状況っておおきく変わるものなんだ。
親しげに、人懐っこい笑顔を向けてくれる高橋くんに、胸のドキドキが止まらない。
「紗良ちゃん、紗良ちゃん。このまま、高橋くんと連絡先交換しちゃいなよ。家で勉強してるときにわかんないところ聞きたい、ってことにしちゃえば?」
わたし達のやりとりを聞いていたユーコが、耳元で唆してくる。
ドキドキして熱くなった耳に、ユーコの吐いた冷たい空気が触れた。
高橋くんと連絡先の交換……。そりゃ、できたらしたいけど。でも……。
「早くしないと、十分休憩終わっちゃうよ」
ユーコが、ためらうわたしを急かす。
高橋くんも、椅子を引きずって自分の席へと戻ってしまう。
これまでユーコがわたしにアドバイスをくれていたタイミングは的確だった。
「わからないところがあれば聞いて」って高橋くんのほうから言ってくれたんだ。
このタイミングでアクションを起こさなかったら、連絡先の交換なんてもうできないかもしれない。



