わたしの秘密のキューピット


 高橋くんの言うとおり、わたしは消しゴムのお礼に家庭科部で作ったクッキーを渡した。

 でも、じつは、直接は渡せていないんだ。

 自分から話しかける勇気がなくて、部活のあとに、クッキーと手紙を入れた紙袋を高橋くんの机の中にこっそりと入れて帰った。

 考えてみたら、消しゴムのお礼のときもバレンタインデーのときも全く同じことをしてるな。

 わたしってば全然進歩がない。

 だけど、高橋くんが消しゴムのやりとりを覚えてくれていたことや、こっそり机に入れたお礼に気付いてくれていたなんてほんとうにびっくり。

 クッキーを入れた翌日、高橋くんからはなんのリアクションもなくて。

 もしかしたら迷惑だったかなってちょっと心配だったから。

「それで、ノートどうしよう。おれの字、汚ないし、他の友達に頼む?」
「このまま、高橋くんに頼みたい」

 咄嗟にそう答えてしまってから、わたしは慌てて手のひらで口をふさいだ。

 自分でもびっくりだけど、ノートはわたしと高橋くんを繋ぐ接点だから。

 それをなくしたくないと思ってしまったんだ。

 ユーコからのアドバイスではなくて、自分の意志で。