「いっ……!」
「え、もしかしてかなり痛い?」
「ぜ、全然! たいしたことないから平気。わたしも、箒で足引っかけちゃってごめん……」
「おれは平気だけど……。武部さんは保健室行ったほうがいいよ」
高橋くんが、捻っていないほうの左腕を引っ張って助け起こしてくれる。
優しいな……。
高橋くんに心配そうに見つめられて、痛みも忘れてドキドキした。
「ありがとう。箒を片付けたら行ってくるね」
「片付けならやっとくよ。保健室もついていくし」
高橋くんがそう言って、床に落ちていた箒を拾い上げる。
え? 保健室もついていく……?
箒で引っ掛けてしまったのはわたしなのに?
高橋くんの親切な言葉に、わたしは一瞬パニックになった。
思わぬ展開に心臓がドクドク鳴りすぎて、キャパオーバーだ。
「い、いいよ。ちょっと捻ったけど、そんなに痛くないし。箒だけ、お願いします……!」
早口でそう言うと、とにかく大丈夫なんだってことをわかってもらうために、右手を上下左右に振ってみせる。
それでも痛みは感じないから、たいしたことないんだと思う。
高橋くんにくるっと背を向けると、わたしは恥ずかしさで爆発しそうな今の状況から逃れるために、保健室に向かって廊下をダッシュした。
「え、ちょ……。武部さん?」
後ろから高橋くんの戸惑う声が聞こえたような気がしたけど、そんなこと構っていられない。



