わたしの秘密のキューピット

 よくわからないな……。

 わたしが廊下の掃き掃除を終えて歩きだすと、ユーコも隣にピタッと並んでついてくる。

 ふと顔をあげると、教室掃除をしていた高橋くんと前田さん、それから前田さんと仲のいい野崎さんが箒を持って窓際でおしゃべりをしているのが見えた。

 野崎さんもクラスの中心グループの女子で、小動物みたいな可愛い系。

 クラスで一番可愛いと評判なのは前田さんだけど、野崎さんも男子達から結構人気がある。

 そんな野崎さんが、今日は高橋くんの隣をキープして、にこにこしていた。

 野崎さんはいつも笑顔でいることが多いけれど、今日の彼女は高橋くんの隣でときどき照れたような表情も浮かべていて。

 高橋くんが好きなことが、態度でバレバレだった。その様子をじっと見ていると、ユーコがわたしに耳打ちしてくる。

「紗良ちゃんも遅れをとらないようにがんばらなきゃ。クラス替えまで、あと一ヶ月もないんだから」
「そんなこと言われたって……」
「紗良ちゃんのゴールは、高橋くんとの両想いだよ」

 ゴールは両想い……?

 そんなの、目標設定が高すぎるよ。

 ユーコはどうしてそんなに強気なんだろう。

 まあ、所詮は他人事だもんね。それに、早く成仏したいっていう目的もある。

 だから、気軽に「紗良ちゃんの恋を応援する」なんて言えるんだよ。

 心の中で愚痴りながら、床に箒を引き摺って歩く。