わたしの秘密のキューピット


◇◇◇

 次にユーコがわたしの前に姿を現したのは、授業後の掃除の時間だった。

「もうわたしの前には出てこないかと思った」
「どうして? 紗良ちゃんの恋の行方を見届けるまでは消えないよ」

 ユーコがきょとんとした顔で首を傾げる。

 意見の食い違いでケンカになったと思ってたけど、気にしていたのはわたしだけらしい。

 戻ってこなかったらそれはそれで仕方ない。そう思ってたのに、ユーコの姿が見えたことに、なぜか少しほっとした。

「今までどこにいたの?」

 いつもは授業中でも休み時間でもわたしのそばをうろうろして、高橋くんと話せるチャンスを狙って目を光らせているユーコ。そんなユーコが、わたしと離れているあいだに何をしていたのかが気になる。

「ずっと紗良ちゃんのこと見てたよ。気付かれないように、少し離れたところから」
「見てたの?」
「うん。一度客観視してみようと思って。紗良ちゃんだけじゃなくて、離れたところから高橋くんのことも見てたの」
「高橋くんも?」

 ユーコの言っている客観視が、何のことだかさっぱりわからない。

「紗良ちゃんはやっぱり、もっと頑張って高橋くんに話しかけるべきだと思う」

 胸の前で気合いを入れるようにぐっと右手を握りしめたユーコが、そんなふうに言ってくるからますますわけがわからない。