わたしの秘密のキューピット


「わたしが本気じゃないって言うなら、ユーコはどうなの? 本気で、本音で、わたしの片想いが叶えばいいって思ってる?」

 いじけて、ヤケになって、ケンカ腰な態度をとるわたしに、ユーコがしかめっ面を向けてくる。

「どういう意味?」
「だって、ユーコだってわたしを利用してるだけじゃない。ユーコがわたしに協力するのは、早く99人の片想いを叶えて成仏したいからじゃん。不純な気持ちでわたしに取り憑いてるユーコに、本気じゃないとか決めつけてほしくない」

 小声で話していたつもりが、最後のほうは少し声が大きくなってしまう。

 だけど、さわがしい教室の中で、わたしがユーレイと睨み合っていることになんて、誰も気づいていなかった。

「ふーん、紗良ちゃんはあたしのこと、ずっとそんなふうに思ってたんだ?」

 可愛い顔を歪ませたユーコがそう言ったとき。

「紗良ー、おはよう」

 登校してきた小春が、わたしのほうに走ってきた。

「どうしたの、紗良。朝から怖い顔して」

 わたしが睨んでいたのは目の前にいるユーコ。

 だけど、透明なユーコの体の向こうには、前田さんのいるクラスの中心女子グループと高橋くんのいるクラスの中心男子グループの集団が見えていて。

 小春が何かを察したように、苦笑いした。