え、挨拶……? そうだ。
「バ、バイバイ、高橋くんっ!」
離れていく背中に向かって思いきって声をかけると、高橋くんがびっくりしたように振り向いて、それから笑ってくれた。
「バイバイ、武部さん」
高橋くんが、にこっと笑ってわたしに手を振る。たったそれだけのことで、心臓がドクドクと暴れる。
「どうしよう、ユーコ。もしかして今日って、地球最後の日かな……」
「何言ってんの、紗良ちゃん」
呆れ顔でそう言ったあと、ユーコがにっこりと笑った。
「よかったね、紗良ちゃん」
「うん。ユーコ、すごい。ユーコのおかげで、今日は高橋くんとたくさん話せたみたい」
「あたしはすごくないよ。紗良ちゃんが自分で頑張ったんだよ」
そう言われたけど、高橋くんと話すキッカケを作ってくれたのは全部ユーコ。
変なユーレイに取り憑かれて最初はどうしようかと思ってた。
でも、わたしと高橋くんが話せたことを自分のことのように喜んでくれるユーコは、全然怖いユーレイじゃない。
ユーコのこと、少し信じてみてもいいのかな……。
小春から聞いた『もし恋を叶えてもらったら、おまじないをした人は、その代償に、キューピットになにかひとつ自分の大切なものを渡さないといけない』って話は引っかかるけど。
ユーコがいれば、高橋くんと両想いにはなれなくても、もしかしたら友達くらいにはなれちゃうかもしれない。
そんな期待でドキドキとした。



