「いや、なんか。机の前で、ひとりで怒ったり笑ったりしてるみたいだったから、どうしたのかなーって。自覚なしだった?」
ひとりで怒ったり、笑ったり……?
ああ、ユーコと会話してるところを見られてたんだ……
ユーコのことは高橋くんには見えない。それなのに、ニヤついたり、むくれたりしながらひとりごと言ってたとか、わたし、絶対に変なやつじゃん。
気持ち悪がられてたらどうしよう……
「あ、えっと……。ちょっと考えごとしてて……」
「なんか悩みごと?」
「うーん、べつにたいしたことじゃないんだけど……」
一生懸命ごまかしたけど、変なところを見られてたと思うとほんとうに恥ずかしい。
だけど高橋くんは、わたしのことをバカにしたり冷たい目で見たりしなかった。それどころか……。
「悩みごと、早く解決するといいね。また明日ね、武部さん」
なんて、笑いかけてくれたから、胸がキュンとなった。
なにそれ、優しい。かっこいい。
「紗良ちゃん、挨拶!」
笑顔で去っていく高橋くんの姿をぼーっと見ていると、ユーコがわたしの肩をパンパンと叩きながら耳元で話しかけてきた。



