わたしの秘密のキューピット


「高橋くん、何してるの?」
「教科書忘れちゃったんで、武部さんに見せてもらっていいですか?」
「そうなのね。そういうことは、授業が始まる前に言ってね」
「はーい」

 机同士を引っ付けたことで高橋くんとの距離が近くなり、あたりまえなんだけど、彼の声がものすごくそばで聞こえる。

「武部さん、声かけてくれてありがとね」

 先生が授業を再開させると、高橋くんが軽くわたしの顔を覗き込みながら小声で話しかけてきた。

「え、うん。全然」

 何でもないふうにそう答える私を見て、ユーコがニヤニヤとする。
 
 近くに高橋くんがいると思うだけでドキドキが止まらなくて、二時間目の英語の授業の内容がほとんど耳に入ってこなかった。