「もしかして紗良、高橋くんとのことを四時四十四分のキューピットに頼ろうかなって思ってる?」
「ま、まさか! 違うよ。ちょっとそういうウワサを聞いたから有名な話なのかなって思っただけ」
慌てて否定したけど、小春は怪しむような目でわたしを見てきた。
「四時四十四分のキューピットに頼るのはやめといたほうがいいと思うよ」
「どうして?」
首を傾げると、小春が意味ありげにそろっと周囲の様子をうかがってから、わたしに顔を近付けてきた。
「四時四十四分のキューピットのウワサは、いいことばかりじゃないの。もし恋を叶えてもらったら、おまじないをした人は、その代償に、キューピットになにかひとつ自分の大切なものを渡さないといけないんだって」
「大切なものってなに?」
「たとえば、魂とか?」
小春が声を低くしてそんなことを言うから、おもわず背筋がゾクッとした。
「な、なにそれ。怖いんだけど……」
もしユーコに高橋くんとの恋を叶えてもらったら、わたしは死んじゃうの!?
鳥肌をたてて震えていると、小春がハハッと笑ってわたしの肩を叩いた。
「なに本気でビビってんの。四時四十四分のキューピットなんて、ウソのウワサに決まってるじゃん。誰がそんな話思いついたんだろうね」
小春は呑気に笑っていたけれど、わたしは気が気ではなかった。
だってわたしは実際に、四時四十四分のキューピットと言われているユーレイを呼び出してしまったみたいなんだから。



