わたしの秘密のキューピット



「高橋くんと前田さん、ほんとうに仲いいよね。でも、紗良にだってまたすぐに新しく好きな人できるよ!」

 告白が失敗したことを知っている小春が、そんなふうに慰めてくる。

 小春が言うとおり、高橋くんと前田さんはほんとうに仲が良い。教室でもよく一緒にいるし、傍から見ていても美男美女でとってもお似合い。

 ユーコは付き合っていないと言っていたけど、こんなにも仲がいいふたりが恋人同士じゃないなんて信じられない。

 ユーコがわたしの恋を応援してくれたとして、この気持ちが1パーセントでも高橋くんに伝わる可能性があるのかな。

 全然、見込みがないような気がする。

「そういえばさ、小春。夕方四時四十四分のおまじないって聞いたことある?」

 ユーコがどこかに浮かんでいないか、さりげなく教室を見回しながら尋ねると、小春が怪訝に眉を寄せた。

「四時四十四分のおまじない?」

しばらく考えたあと、小春が「あ」と何か思い出したように手をたたく。

「紗良の言ってるおまじないと同じかどうかはわからないけど、四時四十四分のキューピットのウワサなら部活の先輩に聞いたことあるよ」
「キューピットのウワサ?」
「うん。夕方の四時四十四分に、誰にも見られないように好きな人の机かロッカーにラブレターを入れると、恋のキューピットが現れて両想いにしてくれるって話」
「へえ」

 小春の話は、ユーコ自身が教えてくれた話にかなり近い。

 全く知らなかったけれど、四時四十四分のおまじないは、学校内でわりと知られているウワサのようだ。