わたしの秘密のキューピット


「心配しなくても大丈夫だよ、紗良ちゃん。あのふたり、ほんとうに付き合ってないから」
「え?」
「じつはね、前田さんには他に好きな人がいるの」
「それ、ほんとう?」

 ついさっきまで変なユーレイに憑りつかれて絶望してたのに。ユーコの一言でわたしの心が揺れた。

「うん。あたし見たもん。昨日、前田さんが高橋くんとは違う男の子に本命チョコ渡してるとこ」
「うそ」
「ほんとうだってば。前田さんが高橋くんにチョコを渡してたのは、本命の子との仲を取り持ってもらったお礼だと思う。前田さんと高橋くんは、ほんとうにただの幼なじみなんだよ」

「それ、信じていいの?」
「もちろん。これはあたしの一ヶ月間の調査結果だから」
「調査?」
「そう。あたしもできるだけ早く99人分の片想いを成就させたいからね。午後四時四十四分のおまじないをしそうな候補の子に目星をつけて、事前にいろいろ調査してるの。紗良ちゃんのことだって、既にバッチリ調査済みだよ」

 ユーコが首を傾げて、にこっと笑う。