わたしの秘密のキューピット


 昨日の放課後。

 ユーコはわたしに笑顔で手を振りながら、

『あたしは学校のユーレイだから、ここから離れられないけど、また明日待ってるね。紗良ちゃんの想いが高橋くんに届くように頑張ろう!』

と言って、その姿をすっと消した。

 ユーコの姿が見えなくなったあと、廊下がなんだかやけにつめたーい空気になっていて。

 怖くなったわたしは、学校を飛び出したあと、後ろも振り返らずに家まで走った。

 家でお母さんの作ったごはんを食べて、あったかいお風呂につかると、ようやく少しほっとした。

 放課後に見たものは、夢だったんだ。

 きっと――ううん、絶対にそう!

 そう思って眠りについたのに……。

 昨日の放課後見たものは、やっぱり現実だったみたい。

 どうしよう。わたし、女子中学生のユーレイに憑りつかれちゃったのかな。

 笑顔のユーコを、ぼーっと見つめる。

 好きな人には気持ちは伝えられないし、わけのわからないユーレイには憑りつかれるし。

 わたしの人生、最悪だ。

 絶望的な気持ちになっていると、ユーコがわたしの顔の前でひらひらと手を振った。

「おーい、紗良ちゃーん。あたしの話、聞いてくれてる?」

 あたしの話……?

 あぁ、もしかして、この世に残した未練の話を聞いてほしいのかな。

 そう思って視線を合わせると、ユーコが内緒話するみたいに口元に手をあてた。