わたしの秘密のキューピット


「お願い。わたしがこっそりクッキーを入れてたことは、誰にも言わないで」

 恥ずかしくなってそう言うと、ユーコが微笑んだ。

「もちろん言わないよ。それに言いたくたって言えないよ。わたしの姿は、四時四十四分のおまじないをした紗良ちゃんにしか見えてないから」
「だから、わたしはおまじないなんて……」
「偶然だとしても、おまじないであたしを呼び出したのは紗良ちゃんでしょ。紗良ちゃんの恋に決着がつくまでは、あたしも次の子のところへはいけないの。だからとにかく、紗良ちゃんの恋をあたしと一緒に成就させよう!」

 ユーコが右手を握ってエイエイオーとばかりに天井にこぶしを突き上げる。そんなユーコの足は、やっぱり床から三十センチ浮いていた。

 ユーコはいったい何者? 

 こんな可愛い中学生みたいな女の子が、ほんとうにユーレイなの?

 恋を成就って、どうやって?

 頭の中に浮かぶのは、たくさんのはてなマーク。

 好きな人に告白しそこねた、バレンタインデーの放課後。

 わたしの前に、ユーレイを名乗るおかしな女の子が現れた。