「ちゃんと自己紹介するね。あたしの名前はユーコ」
「ユーコ?」
「うん。この学校の片想いの子たちの恋を応援してるユーレイ」
「恋を応援してる……、なに?」
「だから、ユーレイ。安心して。あたしはこれまでに、93人の片想いを成就させてきてるから。そして紗良ちゃん、あなたが記念すべき94人目!」
わたしにとびきりの笑顔を向けるユーコと名乗る、自称ユーレイ。その顔を呆然と見つめる。
「どの辺が記念すべきなの? キリも悪いし、中途半端なんだけど……」
「何言ってるの。紗良ちゃんの恋が成就すれば、目標の99人目まで残り5人になるんだから。紗良ちゃんは、記念すべき94人目よ」
ユーコが口をとがらせて抗議してくるけど。
言っていることは、やっぱりよくわからない。
「ごめん。わたし、もう帰るね」
頭をおさえながら帰ろうとすると、
「あー、待って待って」
ユーコが文字通り、わたしの前まで飛んできた。
「紗良ちゃんは、高橋くんに想いを伝えたくて机の中に手紙とクッキーを入れたんだよね」
「そう、だけど……」
誰も見ていないか何度も確認したのに。
ユーコはわたしが高橋くんの机にクッキーを入れるところを見ていたらしい。



