「ちょっと待って。どうして、わたしの名前が紗良だって知ってるの?」
「そりゃ、知ってるよ。一ヶ月前に、クラスで席替えがあったでしょ? そのときからずっと気になって見てたんだ、紗良ちゃんのこと」
「見てた?」
「そう。あたしもそろそろベテランユーレイだからさ。次に四時四十四分のおまじないをしそうな子は誰かなーってなんとなく予想がついちゃうんだよね。なんていうか、霊感で? ほら、初めに予想をつけて調査しておいたほうが両想いでなかる確率も上がるでしょ」
女の子が、ふふっと笑う。それから何だか得意げに、ニヤッと口角を引き上げた。
「紗良ちゃんの好きな人って、隣の席の高橋 楓真くんだよね」
女の子の言葉に、心臓がドクンと跳ねる。
初めて会うのに、どうしてこの子がそんなこと知ってるの……?
不審がるわたしを見て、女の子がまたふふっと笑った。
「心配しないで。あたしはユーレイだけど、誰かを呪ったりとか、脅かしたりとか、そういうことするタイプじゃないんだ」
たしかに、まあ……美人だし、怖そうな感じはしないけど……
あやしいってことには変わりない。
じとっとした目で見つめていると、突然、女の子がふわっと飛んで近付いてきた。
まるで瞬間移動。その動きは、人間ワザじゃない。
ビクッと震えて後ろに下がると、女の子はちょっと困ったように眉尻を下げた。
「そうは言っても、やっぱり怖いか」
独り言みたいにつぶやくと、女の子がわたしから少し距離をとる。それから、あらたまった様子でコホンと咳払いした。



