わたしの秘密のキューピット


 少し切ない気持ちで紗良ちゃんを見ていると、

「武部さん、どうかした?」

 隣にいた高橋くんが彼女に声をかけた。

 その瞬間、紗良ちゃんの視線があたしからそれる。

 紗良ちゃんは、もうあたしのことは見ていない。

 だけど、今まで見た中でいちばん幸せそうに笑ってた。

 紗良ちゃんは、あたしが出会った94人の子達の中で、いちばんネガティブで、自信がなくて、ちょっと手のかかる子だった。

 でも、ユーレイのあたしとほんとうの友達みたいに接してくれた。

 また明日って言ったのに、ごめんね。

 だけど、約束どおり、紗良ちゃんのことを見守ってるよ。

 もう、話したり、笑い合ったりできないけれど。

 少しの淋しさを胸の中に押し込めると、あたしは95人目と向き合った。

 これからあたしが応援するのは、この子の片想い。

 感傷にひたってる暇はない。

「あたしの名前はユーコ。この学校で片想いをしている子たちの、恋を応援するユーレイ。これからよろしくね、あやのちゃん」

 さて。

 この子とあたしの間には、どんなことが起きるかな。

Fin.