【完】きみは硝子のゼラニウム





ちゃんと私の歩幅に合わせてくれているのは分かってる。でも、きっと本当は遅いって思ってるよね、面倒くさいって思ってるよね…。

情けなくて涙までにじんできて、視界が少し滲んだ。


「大丈夫?」ってさっきから何度も聞いてくれる優しい声が、逆に申し訳なくて、私は小さく首を振ることしかできなかった。

すると次の瞬間、尋くんがふっと私の前から消えて、



「抱っこしようか?」



なんて唐突に言いながら、いつの間にか後ろに回っていた。

え、なに言ってるの?って理解するより先に、彼の腕が私の膝あたりに回りそうになって、心臓が跳ね上がる。


ちょ、ちょっと…尋くんっ…!?



「まって、まって…!恥ずかしいっ…」


「なんで?」



面倒くさいって思われてるかも、なんて勝手に落ち込んでたのに、今はただ、彼の腕が触れそうになった場所が熱を持って、そこから心臓までじわじわと甘い痺れが広がっていくみたいで、息がうまくできない。