【完】きみは硝子のゼラニウム





私の目にも王子様みたいに映ってしまう尋くんが、他校の制服を着た女子を連れ回しているなんて。

もし、変な噂が立ってしまったらどうしよう。



「ひ、尋くん…」


「ん?」


「私なんかと一緒にいていいんですか?」


「え?」


「尋くんと周りたい子、いっぱいいるんじゃ…」



さっきから感じていた視線。明らかに尋くんを見ている女の子たち。その中に混ざる、ほんの少しの敵意みたいなもの。

尋くんと出会って、まだたった一週間。そんな女が、この人の隣に立っていていいわけがない。

しかも尋くんは3年生で、今日が最後の学祭なのに。

本当は、もっと一緒にいたい人がいるんじゃないの?

尋くんは、それでいいの?



勇気を振り絞って見上げると、尋くんはじっと私を見返した。


そのあと、少しむっとした顔で手に持っていたスマホをポケットにしまう。



「なあ、ひな。俺がそんなこと言われてどう思うと思う?」


「へ?」


「まあいいや。ひながそう言うならいいけど、しんないからね」



そう言って、口元だけで笑う。その表情は、さっきまでの優しい笑顔じゃなくて、どこか意地悪で、でも余裕があって。