【完】きみは硝子のゼラニウム





「お待たせしました」



小走りで駆け寄ると、尋くんはなにも言わずに、じっと私を見てくる。



「え、と…なにかついてます?」


「いや…あんな風に笑うんだなって」


「え?」


「楽しそうじゃん。花、好きなんだな」



あ…。さっき、店員さんと話しているところ、見られてたんだ。


頬が熱くなるのを感じて、慌ててそっぽを向くと、なんで、と小さく笑う声が追いかけてくる。


だって、恥ずかしい。見られてるなんて思わなかったし、あんなに無防備に笑ってたなんて、自覚なかったから。


胸の奥がそわそわして、さっきまで落ち着いていたはずの鼓動が、また騒がしくなっていく。


仕事モード、どこ行ったの。



そう心の中で呟きながらも、隣に並んで歩き出すと、なぜかさっきより距離が近く感じて、余計に意識してしまう自分がいた。