「お店の雰囲気も季節ごとに変わるので、いつかお姉さんにも花束作ってもらいたいなあ」
穏やかな笑顔でそんなことを言われて、一瞬、言葉に詰まる。
私なんて、まだ基礎も完璧じゃないし、色合わせだって毎回迷うし、自信なんて全然ない。
そう言い訳みたいな言葉が喉まで出かかったけれど、飲み込んだ。
いつか、本当に。
誰かの大切な日に、私が選んだ花で笑ってもらえたらいいな、って。小さな夢みたいな願いが、胸の中でふわっと膨らむ。
「これって、胡蝶蘭ですよね?真っ白じゃないのもあるんだ」
彼女が指さしたのは、花束の中でひときわ上品に咲いている淡いピンク色の胡蝶蘭。白のイメージが強いけれど、ほんのり桜色をまとったその花びらは、やわらかくて、どこか優しい印象を与えてくれる。
「はい、最近はこういう色味も人気で…春なので、少し柔らかい雰囲気に」
と説明しながら、そっと花に触れる。繊細なのに、凛としていて、静かにそこに咲いている姿がきれいで、思わず見とれてしまう。



