【完】きみは硝子のゼラニウム





深呼吸して、仕事モード、仕事モードって自分に言い聞かせるのに、足元を見れば私よりずっと大きいサイズのスニーカーが並んでいて、歩幅を合わせてくれていることに気づいてしまうし、


前を向いても視界の端に映る手元が気になってしまうし、どうしたらいいのかわからない。



落ち着かなきゃって思うほど、心臓の音はうるさくなっていく。




そうこうしているうちに、目的地の雑貨屋さんに到着した。


自動ドアが開くと同時に、私のあとに当然みたいな顔で入ってこようとする尋くんの気配を感じて、慌てて振り返った。



「は、羽吹さ…じゃなくて、尋くんっ。すぐ戻るので、お店の外で少し待っててもらっていいですか?」



一応、仕事だし、何よりこの距離感にこれ以上耐えられそうにないから。


そう言うと、尋くんはわかりやすく眉を下げて、えー、と不満げな声を出す。