きみは硝子のゼラニウム






放課後。


校門を出ると、夕方の空はやわらかいオレンジ色で、本当なら少し好きになれそうな時間なのに、今日はなぜか胸が重い。


駅までの道のりを一人で歩いていると、いやでも目に入ってくる。


楽しそうに並んで帰る友達同士。くだらないことで笑い合ってる声。


少し前を歩くカップルは、手こそ繋いでないけど、肩と肩の距離がやけに近くて、見ているだけで胸がきゅっとする。



いいなあ、って思う。


あんなふうに、自然に笑えたらいいのに。誰かの隣で、安心して歩けたらいいのに。


でもすぐに、ダメだよって心の中でブレーキをかける。

憧れちゃダメ。期待しちゃダメ。



「はあ……」



誰にも聞こえないように、小さくため息を吐く。


今日も、これからバイトなんだから、こんな気持ちのままじゃダメなのに。


いらないこと考えて、勝手に落ち込んで、勝手に傷ついて。そんな暇があるなら、笑顔の練習でもしてたほうがいいのに。




ふと、お母さんの顔が浮かぶ。

もし、今の私を見たら、どう思うんだろう。