【完】きみは硝子のゼラニウム





あのとき、尋くんが言ってくれた言葉が、何度も何度も頭の中で繰り返される。



——『ひながほんとは大切にしたいと思ってるもの、大切にしてるものは、俺も大切にしたい』



その言葉に、どれだけ救われたか分からない。

だから、今度は私の番だと思った。



「……私も、尋くんが大切にしてるもの、全部……大切にしたい」



それは、物とか、時間とか、そういうものだけじゃなくて——きっと、その中には、私自身も含まれてる。

尋くんが「大切だ」って言ってくれた私を、今度はちゃんと、私が大切にしなきゃいけない。



「だったら……私のことを大切だって言ってくれる尋くんを、信じて……私が、私を大事にしなきゃって思ったの」



ずっとできなかったこと。ずっと拒んできたこと。


それでも、初めて——やってみたいって思えた。


涙でにじむ視界の中、それでもちゃんと尋くんを見る。



「……尋くんが、私を好きでいてくれるから……私も、尋くんを通してなら、きっと……自分のこと、好きになれるんじゃないかって……そう思えたんだよ」



ひとりじゃ無理でも、誰かを通してなら。尋くんが見てくれる私なら、少しだけ信じられる気がした。